食品経営支援協議会の専門家によるコラム。厚労省が発表している制度化への考え方について解説します。

 

みなさん、こんにちは。食品経営支援協議会(FMSC)理事の秋島  一雄です。

食品衛生法改正による「HACCPに沿った衛生管理の制度化」は2021年6月から完全実施となり、厚生労働省がこの制度化に向けてQ&Aを作成し発表しています。
本ブログでは、その中から主なものを数回に分けてご説明します。

今回の3回目は、「IV:保健所による監視指導や罰則等について」です。昨今のコロナ禍で大変な時期に、衛生管理の不備等で指導や罰則を受けることだけは避けたいとお考えの方も多いと思います。ある意味、事業者が一番知りたい部分であるこの「IV」での要点をお伝えします。

○監視指導のタイミングと指導はどんな感じか?
2021年6月(改正食品衛生法の施行)後の監視指導(施設の立入調査や衛生管理計画の確認)のタイミングと頻度は、各都道府県等の作成する監視指導計画に基づき実施されます。また、そこで食品衛生監視員による立入検査営業許可の更新等の機会を通じて衛生管理計画の内容や実施状況等を確認して、必要な指導や助言をすることとなっています。
おそらく、現実的には営業許可の更新時には何からの確認作業や計画書の提出を求め、それに準じて更新の可否が決まる、と考えて準備しておいた方がベターと思われます。

また、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理の対象となる小規模営業者等(50人未満の小規模な製造・加工等の食品等の取扱い事業者や飲食店等)は、業界団体が作成した手引書(厚労省の以下のホームページ「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書」に掲載)を基に管理指導をおこなう事になります。
ただ、手引書をそのまま使うのではなく、少し手間がかかりますが、それを参考に自社(自店)用にアレンジをしたものをお勧めします。なぜなら、自社(自店)にフィットしてないと健康被害を引き起こすハザードを見過ごしてしまう恐れがあるからです。

○衛生管理計画が不備の場合は直ちに行政処分の対象となるか?
営業許可の取消や営業の禁停止は、都道府県知事等が判断することになるが、まずは改善のための行政指導があり、それに従わない場合は改善が認められるまでの間、営業の禁停止の行政処分が行われます。(食中毒が発生した場合は、直ちにこの営業の禁停止といった行政処分がされるので、やはり普段からしっかりとした衛生管理は必要になります)

○HACCPに沿った衛生管理をしていない事業者から仕入れた食材は問題ないか?
HACCPに沿った衛生管理をしていない事業者から原材料を仕入れても、直ちに食品衛生法違反とはなりませんが、食中毒を起こすリスクが自社(自店)以外にあることは、是非とも避けたいところです。やはり、衛生管理を行っている信頼できる事業者から仕入をおこない、更に受入時にも確認を行うといった適切な対応が必要となってきます。

コロナ禍により衛生管理に対しても多くの消費者は今まで以上に注目をしており、風評被害を受けないためにも、しっかりと準備や対策を施しておきたいものです。

一般社団法人食品経営支援協議会では、事業者の販路開拓に向けた「自店や商品のブランディング」から海外展開に至るまでのコンサルティングも可能です。お気軽にご相談ください。https://fmsc.or.jp/contact/

執 筆 者

秋島 一雄
一般社団法人 食品経営支援協議会 代表理事
中小企業診断士  / 東京商工会議所中小企業相談センターコーディネーター  / HACCP コーディネーター / 産業能率大学兼任講師

総合商社の営業マンから経営コンサルタントとして独立。中小企業専門のコンサルタントとして、東京商工会議所を含め公的機関にて年間200件以上の経営支援実績がある。また販路開拓・マネジメント・海外展開・創業塾等の研修・セミナーの講師も務め、その現場感覚のある指導でリピーターも多い。

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