食品経営支援協議会の専門家によるコラム。今回は、中小企業診断士の加茂多恵 FMSC講師により、GAPについてお届けします!

 

皆さんこんにちは。食品経営支援協議会(FMSC)講師の、中小企業診断士 加茂多恵です。

皆さんは、GAPという言葉をご存知でしょうか。
GAPとは、「Good Agricultural Practice」、直訳すると「良い農業のやり方」です。
さて、皆さんにとって「良い農業」とはどういうものでしょうか。

農業で作られるものは農産物、そして農産物も食品です。一旦、食品にとっての「良いこと」と考えてみるとわかりやすいかもしれません。食品の「良いこと」は、大きく分けて2つ。「おいしいこと」と、「安心安全であること」が求められると思います。

「おいしいこと」は極端に言えば、食べてみればわかります。そして、人によって好みもあります。また、コマーシャルやブランドによって判断することもできるでしょう。「おいしいこと」とは、食品にとって付加価値である、とも言えます。

一方、もう一つの「良いこと」である「安心安全であること」は、こちらは守られるべきものです。口に入れるものは、必ず安全であって欲しい、安心して食べたいと思うのが当然でしょう。

では、「安心安全であること」はどうやって判断すればいいでしょうか。

安全は、食べてみてもわからないこともあり得ます。むしろ口に入れる前に知りたいことです。時には、見えない危険も潜んでいます。口に入れて害がないか、つまりは、もしも食中毒異物混入残留農薬の危険性が高いとしたら……安心できません。

もちろん、農業を営んでいる方々は、既に安心や安全をそれぞれに考えて実践していらっしゃっています。それらを日々買い物で――例えば、スーパーでたまたま手に取った1個のトマトやリンゴに対して――その別々の生産者が、個々の取組みの”すべて”を説明し、消費者がそれらを一つ一つを理解し、判断するのは至難の業です。
そこでGAPです。GAPは、農林水産省では「農業生産工程管理」と日本語訳されており、「農業において、食品安全、環境保全、労働安全等の持続可能性を確保するための生産工程管理の取組のこと」と定義されています。つまり、「農産物が安心安全であること」、そして、それだけではなく、「農場全体が安心安全であること」を保障してくれる制度です。GAPを実践し、認証を受けることで、農業全体の取組みをGAP共通の基準と、法律という観点で基準を満たしている、と説明することができます。そして、それらに取り組むことで、食の安全を守り、そこで働く人の安全を守り続けるという、食の未来を担う持続可能な農業につながっていきます。「良い農業のやり方」で、継続的に業務効率化や、リスクマネジメントを行っていくことができる、ということです。

持続可能な取組を求める2020年東京オリンピック・パラリンピックでは、選手村などで提供される料理にGAP農産物が使われることが決まっています。
日本国内だけでなく、世界の市場に安全を示し、販路を獲得していく方法の一つが、GAPというわけです。

一般社団法人食品経営支援協議会では、各種GAP認証取得のためのご支援が可能です。お気軽にご相談ください。
https://fmsc.or.jp/contact/

執 筆 者

加茂 多恵
一般社団法人食品経営支援協議会 講師
中小企業診断士  / HACCPコーディネーター  / JGAP指導員

立ち飲み居酒屋から二つ星レストランまで、様々な飲食店を経験。調理・接客をはじめ、企画から現場運営に関わる、飲食店の総合的な見識を持つ。

 

★今後のセミナー開催一覧はこちらから>> 今後のセミナー一覧

にほんブログ村 経営ブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 経営ブログ コンサルタントへ
にほんブログ村