本日は沼博之 講師による日本発の認証の種類と役割についてのコラムをお送りします。

 

みなさん、こんにちは。食品経営支援協議会(FMSC)講師の沼博之です。

今日は、農業、食品において農林水産省が推し進めている認証についてお話します。
農林水産省から、10年後の2030年に、日本の農林水産物・食品の輸出額を5兆円にしようという目標が出されました。日本の現在の人口1億2581万人(本年9月1日概算)は、30年後の2050年には1億190万人の20%まで減少し、高齢化もますます進むことから、日本の市場規模は縮小していきます。
それに対して世界の人口は、76憶人(2018年)から2050年には30%増の98憶人に増加し、世界の食糧需給はますます増加していきます。将来を見据えて日本の農林水産物・食品の成長を考えるならば、需要が増えていく海外への輸出を促進していくしか方法はありません。

食品において健康被害を起こさない「安全」対策は必須です。日本において2021年6月より完全施行されるHACCPに沿った衛生管理」は、海外ではすでにスタンダードな手法です。
また、そのHACCPにマネジメント(組織管理)を加えた日本発の規格「日本食品安全マネジメント」(JFSは、2018年10月に食品安全のグローバル規格として、世界食品安全イニシアティブ組織(GFSIより承認を受けました。(JFS-Cが承認)

農業においても、ASIAGAP(アジアギャップ)JFSと同じ時期の2018年10月に、グローバル規格としてのGFSI承認を受けています。
ASIAGAPにおいては、食品安全だけでなく、環境保全・労働安全・人権福祉・健全な農場運営を通して「持続可能な農業社会を達成する」という目的があります。
これは、2030年までに達成する17の目標と169のターゲットを掲げている「持続可能な開発目標」(SDGsエスディージーズ)と重なります。有機農業における日本農林規格「有機JASにおいても、「持続可能な農業」は大切なキーワードで、2年以上禁止された農薬や化学肥料を使わないことで「環境保全」を守っています。

ここまで話すと「私のところは、輸出は考えていないから関係ないよ」という声が聞こえてきそうですが、実はそうではありません。
大手メーカーや大手スーパーは、すでにGAP認証やJFS認証を取引先に求めてきています。農林水産物や食品の国際化が加速していくと、国際的に求められているグローバル規格が国内でもスタンダードになってくるのです。

有機JAS規格の認証を取得するためには、最低2年間必要です。GAP認証(JGAPASIAGAP)やJFS認証(JFS-BJFS-C)の取得にも同じくらいの取得期間が必要となります。
今後のビジネスの成長機会を失わないように将来を見据えて、今からそれらの認証取得の準備をされることをお勧めします。

一般社団法人食品経営支援協議会では、食品衛生に関連するご支援のみでなく、経営課題解決に向けたご支援もおこなっています。ITを活用した働き方の見直しや、生産性向上に向けた取り組みなど、お気軽にご相談ください。https://fmsc.or.jp/contact/

執筆者

講師:沼

沼  博 之
一般社団法人 食品経営支援協議会 理事
JHTC認定 HACCPリードインストラクター・上級HACCPコーディネーター・中級食品表示診断士・ASIAGAP指導員

食品業界(量販店、卸問屋、食品メーカー)の川上から川下まで経験し、販売・営業に31年間携わる。食品メーカー在籍中にはISO22000の食品安全チームリーダーを務め、HACCP構築のための社内外の指導教育、セミナー講師として活動。特に受講者の目線に立ったわかりやすい指導には定評がある。上記資格以外にも食の6次産業化プロデューサー・プロレベル4、JGAP審査員研修終了認定者、日本オーガニック検査員協会講習終了認定者でもあり、現在も活動領域拡大中。

 

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