食品経営支援協議会の専門家によるコラム。今回は、中小企業診断士の加茂多恵 FMSC講師により、GAPについてお届けします!

 

皆さんこんにちは。食品経営支援協議会(FMSC)講師の中小企業診断士 加茂多恵です。

新型コロナウイルスの拡大防止に向けた動きの中、販売先の状況の変化など、農業事業者の方々も大きな影響を受けられていることと思います。
農林水産省では、令和2年度補正予算を反映した農林漁業者・食品関連事業者への支援策を取りまとめたページが公開されています。業種別の一覧や、持続化給付金の農林漁業者向けの解説も用意されています。まだ詳細が未定のものも掲載されていますが、是非一度目を通して、活用に向けてご準備いただければと思います。
申請について不明な点がある場合は、当協議会でのサポートも可能です。

さて、今日は、GAPの基準における「安心安全」の内容についてお話させていただきます。

国際的なGAPの基準においては「安心安全であること」の共通の考え方として「農場運営」「食品安全」「環境保全」「労働安全」「人権・福祉」が盛り込まれています。

「食品安全」
これは農産物の製品としての安心安全です。
基準の中には「食品安全危害要因」の特定や、リスク評価を行うことが記載されています。健康への影響度と起こりやすさによってリスクの程度を評価することは、当協議会のブログでも解説しているHACCPの考え方も参考になります。 

「環境保全」
農産物は土地と水を使用します。土地や水は、ご自身が使用しているものに限りません。周辺の環境も含めたの基準が設けられています。特に、平成18年から、食品衛生法に基づく残留農薬のポジティブリスト制が施行され、特に農薬の飛散(ドリフト)防止対策の一層の徹底を図ることが求められてきました。

「労働安全」
機械・設備を使っての作業を行う農業では事故への対策も重要です。農林水産省の発表によると、農作業事故死亡者数は毎年300人ほどで推移しています。10万人あたり死亡事故発生件数でみると平成30年の調査で15.6人と、全業種の1.4人、同じく事故が問題視されている建設業の6.1人よりもかなり大きい数字になっています。 

「人権・福祉」
人権や福祉という言葉だと難しく感じるかもしれませんが、規定の中では、例えば「法令順守」と「継続的改善」という言葉で定められています。また、ご家族での経営をされている方の中には、暗黙の了解で行っていることがあるかもしれません。第三者からみて、それが曖昧な場合、文書することでルールを明確にする必要があります。 

「農場運営」
そして、これらの安心・安全を農場全体が行っていくために、運営についての規定が設けられています。つまり、農場全体の組織と経営を「経営者」として意識していくことが設けられているのです。経営と経営者については、特に重視して規定されています。

GAPはこれらの安心安全に関することを、責任や担当を従業員に割り振り、日々の運営の記録や検証、そして改善を行っていくことを目的としています。これらは経営者だけでなく、従業員が一丸となって行うことにより、従業員の意識改革にもつながり、より組織としての力が付き、継続的な運営に繋がっていくのです。

当協議会では指導員によるGAP認証のサポートを行っています。経営のご相談と合わせてお気軽にご相談ください。
https://fmsc.or.jp/contact/

参考:農林水産省
「残留農薬のポジティブリスト制度と農薬のドリフト対策について」
「平成30年の農作業死亡事故について」

執 筆 者

加茂 多恵
一般社団法人食品経営支援協議会 講師
中小企業診断士  / HACCPコーディネーター  / JGAP指導員

立ち飲み居酒屋から二つ星レストランまで、様々な飲食店を経験。調理・接客をはじめ、企画から現場運営に関わる、飲食店の総合的な見識を持つ。

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