みなさん、こんにちは。FMSC 講師の中小企業診断士 金子和博です。
今回のブログでは、HACCP7原則12手順のうちの「【原則6(手順11)】検証方法の設定」についてご紹介します。原則5までで、必須管理点(CCP)の決定、モニタリング方法や、ルールから逸脱してしまった場合の対処方法を設定してきました。今回のブログで紹介する「検証方法の設定」では、作成したHACCPプランに沿ってしっかり運用されているかどうか、また適切に機能しているかどうかという事を確認するための方法を決定する工程です。
検証とは
正しく管理されている、という事を実際に証明することです。しっかりとルール通りに実施されているのか(順守の検証)、また本当に効果があるのか(科学的妥当性の検証)を確認、検証します。
検証するうえでのポイントを以下にご紹介します。
①管理基準を満たしている?(順守の検証)
②使用している測定機器は正確?(科学的妥当性の検証)
③モニタリング方法や管理基準の設定は正しい?(科学的妥当性の検証)
④改善措置は正しく行われていますか?(順守の検証)
ポイント①:「管理基準を満たしている?」
せっかく必須管理点(CCP)の管理基準を設定したとしても、しっかりと運用されていなかったり、管理基準を逸脱してしまっているのに、改善措置がちゃんととられていなかったら、大変な問題が発生してしまいます。必須管理点(CCP)は重要な手順のため、全製品が管理基準を満たした、という状態で製造されていることをしっかりと確認しておく必要があるのです。
よって、モニタリングの担当者が適切な時にしっかりと正確に記入しているか、また、全製品が管理基準を満たしているか、責任者が確認する必要があります。
ポイント②:「使用している測定器は正確?」
必須管理点(CCP)をしっかりと管理していたとしても、モニタリングで使用している、「秤」、「タイマー」といった測定器の数値に異常があっては、本当に管理基準を満たしているかどうかの判断をすることができません。
よって、「温度計」、「タイマー」、「秤」などが正確な数値を示すか、という事を定期的に確認し較正することが必要になってきます。誤差が発生していることが判明した際には、製造した製品の記録を確認し、数値の誤差を考慮しても管理基準を満たしていることを確認する事が重要です。
ポイント③:「モニタリング方法や管理基準の設定は正しい?」
管理基準として設定し、運用していた必須管理点(CCP)がそもそも誤ってしまっていたとしたら最終製品で問題が起こってしまいます。科学的根拠に基づいて管理基準を決めていても、しっかりと効果が得られているかを確認しておく必要があります。
確認方法としては、一般的には「最終製品」、「必須管理点(CCP)直後」の抜き取り検査(微生物検査)を実施する等があります。こういった確認を通して、必須管理点(CCP)の管理基準・方法に問題がない、という事を立証しておきましょう。
ポイント④:「改善措置は正しく行われていますか?」
管理基準が逸脱してしまった際に、しっかりと対処されているかどうかを確認する必要があります。管理基準を逸脱したことが判明した際に、正しく対応できていないと意味がないからです。一般的には、製造責任者等が管理基準を逸脱してしまった際に記録している用紙をチェック、そして、改善措置を含むHACCPプランの見直しを実施します。
手順11(原則6)はいわば見直しの工程といえます。手順1~手順10(原則1~原則5)にて決定、設定した基準値等をしっかりと運用する事で問題が起こらない、という証明をすることが、手順11(原則6)の位置づけです。
いかがでしたでしょうか、本日は、手順11【原則6】検証方法の設定について説明してきました。
次回、手順12【原則7】では、モニタリングで記録した内容等をどのように文書化し、保管するかを決定する、「記録と保存方法の設定」について説明します。
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執 筆 者
金子 和博
一般社団法人食品経営支援協議会 講師
中小企業診断士 / HACCPコーディネーター / 中級食品表示診断士
食品業界(商社、メーカー<ファブレス含む>)に20年以上勤務し、新規事業開発、国内・海外への販路開拓等に携わる。商品開発、原料の買付から、生産、営業(販売)等、幅広い経験を活かし、「商品戦略×チャネル戦略」を軸にしたマーケティング支援を行う。
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