食品経営支援協議会の専門家によるコラム。HACCPの12手順について解説します。本日は第6回です。

 

みなさん、こんにちは。FMSC 講師の中小企業診断士 金子和博です。

HACCPの12手順、6回目のブログでは、HACCP7原則12手順のうち、HACCP計画の作成の最初の取組となる「手順6 【原則1】危害要因分析」についてご紹介します。手順1~5では、原材料から、製造工程、流通を経て、消費方法までの過程において、危害要因分析をする上で必要な情報収集や整理の仕方について、説明してきました。ここからは、具体的なHACCP計画の作成についてご説明していきます。

危害要因分析って??

危害要因とは、人の健康に悪影響を及ぼす原因となる物質の状態のことで、危害要因分析とはその要因をすべて洗い出す作業のことを指します。この分析は大きく分けて、「原材料」「製造工程」の2つの側面で進めて行きます。ここでの分析次第では、人の健康被害に繋がってしまう可能性もあるため、非常に重要な作業となります。できるだけ具体的に危害要因を洗い出すことがポイントです!

ではその前に、どういった物質が危害要因になるのか?下表で具体的な物質を確認しておきましょう。

PRP 一般衛生管理プログラム(Prerequisite Program

HACCPをうまく機能させる為に必要な衛生管理プログラムで、一般衛生管理プログラム(Prerequisite Program)と言われています。英語表記を略して、「PRP」と呼ばれています。これは、製品や製造ラインではなく、一般的に整備しておくべき項目の管理方法です。例えば、機械・設備の洗浄、メンテナンス、適切なユニフォーム・健康管理といった従業員の衛生管理、従業員教育等がこれにあたります。

原材料の危害要因分析

製品の生産に使用する原材料に、上図で挙げたような危害要因が存在しているのかどうか分析していきます。

「さばの切り身(冷凍)」を例に見ていきましょう。
水産物であるサバには、危害要因として、「腸炎ビブリオの汚染」、また「ヒスタミンの生成」が考えられます。当製品の製造においては、加熱工程を設けていない為、原料受入れ、原料保管、解凍、再凍結から製品保管までの品温管理が重要なコントロール手段となります。危害要因分析をする際には、製造に必要な原材料に関する規格書を仕入先から入手し確認することも重要です。

以上のことを踏まえ、以下に「原材料の危害要因分析」を提示しておきますので確認しましょう。

製造工程の危害要因分析

「原材料の危害要因分析」が終わったら「製造工程の危害要因分析」について検討していきます。原材料由来の危害要因物質を、最終製品において、許容基準以下におさめる必要があります。製造作業中のどこの工程で増殖してしまう可能性があるのか、汚染や異物などの混入が起こってしまう可能性はあるのか、またその危害要因をどこで、低減、除去する必要があるのか、について分析をしていきます。これは、手順5で紹介した、製造工程図で工程ごとに実施していきます。

分析例①

【3】欄について、ヒスタミンはひとたび生成すれば加熱でも分解しない重大な危害要因ですが、この工程ではPRPで十分対応できるので、NOとなります。

分析例②

6】欄で今回は、YESと判断しました。これは、当工程以降の後工程では、危害要因を除去、低減できる工程がないと考えたためです。こういった工程を必須管理点(CCP)といいます。

原材料や製造工程ごとに重大な危害要因について分析をしてきました。
次回の手順7【原則2】では、ここで検討した分析表をもとに、もっとも重要な管理ポイントとなる必須管理点の決定方法についてみていきます。

一般社団法人食品経営支援協議会では、HACCPの導入前の研修から、経営のお悩みの解決につながるコンサルティングが可能です。お気軽にご相談ください。
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執 筆 者

金子 和博
一般社団法人食品経営支援協議会 講師
中小企業診断士 / HACCPコーディネーター / 中級食品表示診断士

食品業界(商社、メーカー<ファブレス含む>)に20年以上勤務し、新規事業開発、国内・海外への販路開拓等に携わる。商品開発、原料の買付から、生産、営業(販売)等、幅広い経験を活かし、「商品戦略×チャネル戦略」を軸にしたマーケティング支援を行う。

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