食品経営支援協議会の専門家によるコラム。今回は長年微生物の研究にたずさわっている、健康管理や食品衛生のエキスパート山口が、食物繊維についてお届けする第2回です。

みなさん、こんにちは。食品経営支援協議会(FMSC)理事の山口 幸三です。

前回のブログでは「日本人は食物繊維の摂取量が足りていない」ということを書きました。今日はもう少し深掘りしていきたいと思います。

食品事業者の皆さんであればご存知の人も多いと思いますが、食物繊維は大きく2種類に分けられます。つまり、不溶性食物繊維水溶性食物繊維ですね。
それぞれの特徴を簡単にまとめると以下のようになります。

不溶性食物繊維の特徴

・水に溶けない
キャベツ、ホウレンソウなどの葉物野菜、キノコ、豆類などに多く含まれる
・便の嵩を増すことで腸を刺激して、便通をよくする

水溶性食物繊維の特徴

・水に溶ける
海藻、納豆、さつま芋、ゴボウ、大麦、らっきょうなどに多く含まれる
・お腹の中でビフィズス菌などの善玉菌を増やす、糖質や脂質の吸収を抑える 

また、一般的には「不溶性食物繊維:水溶性食物戦に=2:1の割合で摂取するのがもっとも健康的とされています。
それでは、日本人はこの割合で摂取できているのでしょうか?

上のグラフは各年代の日本人が摂取している食物繊維の割合を示しています。

このグラフからは、ほぼすべての年代において、だいたい「不溶性食物繊維:水溶性食物繊維≒3:1」の割合で摂取されていることがわかります。つまり、日本人が摂取する食物繊維は不溶性食物繊維に偏っているのです。
実際、私がセミナーなどで「食物繊維と聞いて思いつく食べ物は?」と質問すると、レタスやキャベツなどの葉物野菜と答える人が多いです。日本人にとって食物繊維=野菜というイメージが強いのでしょう。ただ、これでは不溶性食物繊維に偏ってしまいます
前回のブログで述べたように、日本人は全体的に食物繊維の摂取量が少ないです。そのうえ、摂取する食物繊維のバランスが不溶性に偏っていることを考慮すると、『水溶性食物繊維を積極的に摂取しましょう』という結論になることがご理解いただけると思います。

今回も前回に引き続いて、食品の栄養(特に食物繊維)について述べてきました。飲食店や食品事業者がメニューや商品を開発される際には、このような背景も理解しておきたいですね。

一般社団法人食品経営支援協議会では、HACCPの導入前の研修から、計画の策定とモニタリングを中心とした運用に関して、トータルなご支援をおこなっています。お気軽にご相談ください。https://fmsc.or.jp/contact/

執 筆 者

山 口 幸 三
一般社団法人 食品経営支援協議会 理事
上級HACCPコーディネーター  / エキスパートファスティングマイスター

大学・大学院・製薬会社勤務時代の15年間、一貫して微生物の研究に従事。腸内細菌や食中毒原因菌など幅広い微生物に関する専門知識を有する。製薬会社を退職後は、健康管理や食品衛生に関する法人を設立。専門的な内容をわかりやすく伝えるセミナーには定評がある。

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