食品経営支援協議会の専門家によるコラム。今回は長年微生物の研究にたずさわっている、健康管理や食品衛生のエキスパート山口が、ビフィズス菌とO-157、その不思議な関係についてお話します。

みなさん、こんにちは。食品経営支援協議会(FMSC)の山口 幸三です。

「ビフィズス菌」「腸管出血性大腸菌O-157」という言葉を聞いたことがあると思います。ビフィズス菌は身体の健康を整えてくれるいわゆる「善玉菌」です。ヨーグルトやサプリメントなどから摂取することができますね。
一方、腸管出血性大腸菌O-157は病原性の高い食中毒の原因菌として有名です。加熱が不十分な牛肉や野菜などを介して摂取してしまう恐れがあり、感染すると最悪の場合、死に至ります。
今日はこのビフィズス菌とO-157の関係について解説していきます。 

食中毒予防の基本は、十分な加熱や手洗いの励行です。調理する側にとってこれらの対策は必須項目です。一方で、料理を食べる側にとって、「ビフィズス菌を摂取することがO-157の感染予防になる」と言われると驚きませんか?
でも、これ本当なんです。ビフィズス菌がO-157の感染リスクを下げてくれるんです。
このことは、科学の世界でもっとも権威のある学術誌「Nature」で発表されました。そのメカニズムは以下のように説明されています。 

①ビフィズス菌を取り入れる→②ビフィズス菌がお腹の中で酢酸という物質を作る→③酢酸が腸粘膜の抵抗力を上げる→④O-157が感染しにくくなる

このことから、ビフィズス菌を身体の中に取り入れることがO-157の感染予防に役立つことがわかりますね。
特に高齢者はO-157による重症化リスクが高いです。また、高齢の人ほど便秘で悩んでいます。つまり、高齢者にとって、ビフィズス菌を摂取することはO-157対策便秘対策という2つの観点で有益なんです。

冒頭に述べたように、ビフィズス菌はヨーグルトやサプリメントなどから摂取することができます。またオリゴ糖が豊富に含まれる野菜や果物を食べることによって、お腹の中にいるビフィズス菌を増やすことができます。高齢の人ほどこういった食材を普段のメニューに取り入れたいところですね。 

一般社団法人食品経営支援協議会では、HACCPの導入前の研修から、計画の策定とモニタリングを中心とした運用に関して、トータルなご支援をおこなっています。お気軽にご相談ください。https://fmsc.or.jp/contact/

執 筆 者

山 口 幸 三
一般社団法人 食品経営支援協議会 理事
上級HACCPコーディネーター  / エキスパートファスティングマイスター

大学・大学院・製薬会社勤務時代の15年間、一貫して微生物の研究に従事。腸内細菌や食中毒原因菌など幅広い微生物に関する専門知識を有する。製薬会社を退職後は、健康管理や食品衛生に関する法人を設立。専門的な内容をわかりやすく伝えるセミナーには定評がある。

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