食品経営支援協議会の専門家によるコラム。HACCPの12手順について解説します。本日は第8回です。

 

みなさん、こんにちは。FMSC 講師の中小企業診断士 金子和博です。

本日の8回目のブログでは、HACCP7原則12手順のうちの「手順8【原則3】管理基準の設定」についてご紹介します。今回は、「手順7【原則2】」で決定した必須管理点(CCP)で管理する必要のある基準の設定方法などについてご紹介していきます。基準とは、例えば、温度や時間を使った指標になります。

管理基準って??

管理基準とは、人への健康被害を出さないように製造するための基準であり、温度や時間といった指標を使った基準値のことでCL(Critical Limit)とも言います。設定した管理基準(CL)からはずれるということは、食品の安全性を確保できていないということを意味します。

管理基準(CL)には、危害要因をしっかりと管理できる値であること、かつその値に根拠(科学的等)があることなどの条件が求められます。

管理基準(CL)の設定ポイントについて

危害要因を確実にコントロールするための管理基準(CL)、どうやって設定したらいいのか、について、ポイントを以下にご紹介しましょう。

1.確実に危害要因を防止、除去、死滅できる数値であること
病原微生物であれば、確実に死滅、除去、許容範囲レベルまで低減されていることを確認することができる科学的根拠の裏付けのある数値。
≫規制、指針
≫専門書、科学文書、専門家等の意見
≫独自データの設定
事業者自身での妥当性の確認が必要

2.可能な限りリアルタイムで判断できること
「官能的指標」、「科学的指標」といった2つの側面で整理するとわかりやすいです。
≫官能的指標
色、臭い、粘度、物性など。
≫科学的指標
温度、時間、水分活性、糖度、pHなどの数値
≫その他留意点
微生物検査結果などは、その結果が出るまでに時間を要してしまい、リアルタイムでの判断が難しくなってしまうため、管理基準としてはふさわしくないでしょう。

「管理基準(CL)」と「運転基準(OL)」の違いについて

管理基準(CL)を逸脱する前に、早めに修正できるように、管理基準より少し余裕をもたせた値を設定しておく場合があり、その基準値を運転基準(Operating Limit)、略して「OL」といいます。

もし、管理基準(CL)を逸脱した状態で製造されてしまっていた製品は、人の健康に悪影響を及ぼす可能性があり危険なため、そういった場合には廃棄や再加工が必要になってしまいます。
そういった事態にならないように、管理基準(CL)を逸脱する前に、調整・修正できるように、少し余裕を持たせた数値、運転基準(OL)を設定しておくのです。

本日は、手順8【原則3】の管理基準(CL)の設定について説明してきました。次回、手順9【原則4】では、本日設定した、管理基準(CL)が、しっかりと守られているかどうかの監視(モニタリング)方法等について説明したいと思います。

一般社団法人食品経営支援協議会では、HACCPの導入前の研修から、経営のお悩みの解決につながるコンサルティングが可能です。お気軽にご相談ください。
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執 筆 者

金子 和博
一般社団法人食品経営支援協議会 講師
中小企業診断士 / HACCPコーディネーター / 中級食品表示診断士

食品業界(商社、メーカー<ファブレス含む>)に20年以上勤務し、新規事業開発、国内・海外への販路開拓等に携わる。商品開発、原料の買付から、生産、営業(販売)等、幅広い経験を活かし、「商品戦略×チャネル戦略」を軸にしたマーケティング支援を行う。

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