食品経営支援協議会の専門家によるコラム。今回は長年微生物の研究にたずさわっている、健康管理や食品衛生のエキスパート山口理事がお届けします!

みなさん、こんにちは。食品経営支援協議会(FMSC)理事の山口 幸三です。今回は食中毒の原因菌として有名なセレウス菌についてお話ししていきます。

「セレウス菌は納豆菌の親戚」と聞くと驚く人もいるのではないでしょうか?食中毒の原因菌と体に良い納豆菌が親戚とはなかなか面白いですね。

まずはセレウス菌について簡単に復習しておきましょう。セレウス菌は米飯や麺類を大量調理し、作り置きした場合に発生することが多い食中毒原因菌です。

   

セレウス菌が作る毒素によって「下痢型」と「嘔吐型」に分けられます。日本では「嘔吐型」が多いですね。また、セレウス菌には「芽胞(胞子)を形成する」という大きな特徴があります。そのため、通常の加熱調理ではセレウス菌を殺すことはできません。

HACCPや食品衛生について学ぶときは上記のような基礎知識が必要になるので、ここまでの内容はしっかりと復習しておきましょう。

さて、ここからは応用編です。セレウス菌の本当の名前はバチルス・セレウス(Bacillus cereus)といいます。これは「学名」と呼ばれるもので、すべての生物はこのように2つの英単語で表記されます。例えば、人はホモ・サピエンス(Homo sapiens)ですね。

セレウス菌(Bacillus cereus)は、生物の中ではBacillus属というグループに属していることが、この学名からわかります。

ここで納豆菌の学名を確認してみましょう。納豆菌はバチルス・サチルス・ナットー(Bacillus subtilis var. natto)といいます。つまり、セレウス菌と同じくBacillus属というグループに属しているのです。

バチルス属の細菌は「長細い形をしている(桿菌といいます)」「芽胞を作る」などの特徴があります。当然、これらの特徴はセレウス菌にも納豆菌にも当てはまります。

このように、セレウス菌は納豆菌はどちらもバチルス属に属する親戚どうしであることがわかります。セレウス菌の特徴だけを丸暗記するのではなく、違った視点から学ぶことでより理解が深まるのではないでしょうか?

執 筆 者

山 口 幸 三
一般社団法人 食品経営支援協議会 理事
上級HACCPコーディネーター  / エキスパートファスティングマイスター

大学・大学院・製薬会社勤務時代の15年間、一貫して微生物の研究に従事。腸内細菌や食中毒原因菌など幅広い微生物に関する専門知識を有する。製薬会社を退職後は、健康管理や食品衛生に関する法人を設立。専門的な内容をわかりやすく伝えるセミナーには定評がある。

 

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