食品経営支援協議会の専門家によるコラム。HACCPの12手順について解説します。本日は第10回です。

 

みなさん、こんにちは。FMSC 講師の中小企業診断士 金子和博です。

今回で10回目のブログになりますが、本日は、HACCP7原則12手順のうちの「手順10【原則5】改善措置の設定」についてご紹介します。「手順9【原則4】」で決めたモニタリングを実行し、設定した管理基準(CL)から逸脱していることが判明した際に、その発生した問題をどのように修正し、解決するのかといった対処法を予め決めておく手順(工程)となります。

改善措置とは

改善措置とは、設定した管理基準(CL)を満たしていなかった際に取るべき措置のことで、「製造工程」「製品」といった2つの側面から考える必要があります。管理基準(CL)から逸脱した原因を明確にし、正常な工程に修正すること、また汚染など、影響を受けてしまった製品を特定し、排除するなどです。

実施する担当者について

改善措置を担当する者は、安全管理面の知識等を十分にもっており、迅速な判断ができるなど、しっかりと教育訓練をされている人間が適任です。管理基準(CL)から逸脱してしまった際に、すぐに適切な対応が行えるように、担当者には十分な権限を与えておくことも必要です。

改善措置の記録について

実施した改善措置については記録としてしっかりと文書化すると同時に、原因追及と再発防止の対策を練っておきましょう。
記録の項目としては以下のようなものです。
・日時
・対象となった「製品名」
・製造ロット
・発生した加工工程(発生場所)
・逸脱についての具体的な内容
・原因の調査結果
・措置の具体的な内容
・逸脱している間に製造されてしまった製品の措置に関する内容
・実施担当者
・確認を実施したもの(製造責任者等)

改善措置設定・運用 4つのポイント

最後に設定、運用する上で考慮すべきポイントを以下にご紹介します。
①逸脱して生産された製品を区分けし、市場に流通させない事
②復旧させるための短期調整
③原因の追究
④再発防止措置
管理基準(CL)からの逸脱が発生してしまった際には、一刻も早く改善措置を実施し、以後発生しないようにするためにも、上記4つのポイントを参考に、設定・運用を行いましょう。

いかがでしたでしょうか。本日は、手順10 【原則5】改善措置の設定について説明してきました。次回、手順11【原則6】では、HACCPプランが有効である、また適切に機能していることを確認するための検証方法について説明します。

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執 筆 者

金子 和博
一般社団法人食品経営支援協議会 講師
中小企業診断士 / HACCPコーディネーター / 中級食品表示診断士

食品業界(商社、メーカー<ファブレス含む>)に20年以上勤務し、新規事業開発、国内・海外への販路開拓等に携わる。商品開発、原料の買付から、生産、営業(販売)等、幅広い経験を活かし、「商品戦略×チャネル戦略」を軸にしたマーケティング支援を行う。

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