食品経営支援協議会の専門家によるコラム。今回は、従来の品質管理とHACCPによる管理との違いを、秋島一雄 代表理事がご紹介します。

 

みなさん、こんにちは。食品経営支援協議会(FMSC)理事の秋島  一雄です。

「従来、食品製造工場がやっている品質管理とHACCPでの管理の違いは何ですか?」という質問を受けることが時々あります。結論として、「従来(通常)の品質管理は、出来上がったものに対してサンプル検査をするやり方です。一方、HACCPによる管理は、事前に危害要因を明確にし、それを重点的に管理することで、製造工程内の安全性を担保するやり方です」とお答えしています。

従来のやり方は、破壊と伴わない金属探知機による全数検査もありますが、基本はできあがった食品を抜き取り検査して合否判定をするというスタイルです。このやり方の欠点として、食材のように元々の原材料が天然産物でバラつきがあるものに対して、その有効性の限界があるということです。一方、HACCPは一般的衛生管理を前提として、事業者が自ら食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因を把握した上で、工場での全行程の中でそれらの危害要因を除去もしくは低減させるための重要な工程を管理していくことになります。
このHACCPという単語が、まさにそれを指摘しています。「HA」はHazard Analysis=危害要因、「CCP」はCritical Control Point=重要なポイント、となっており、それらの頭文字をとってHACCPとなっているのです。

HACCPの管理も万能ではありませんが、製造工程ごとでの安全性を管理するため、従来の抜き取り検査ではおいきれない面まで管理することができます。
つまり、HACCPにより衛生管理は、①食品の安全性の更なる向上につながる、②食中毒、異物混入等の食品事故防止になる、③万が一に事故が発生した場合でも速やかに原因追及ができる、ことにつながるのです。海外でも先進国中心に、このHACCPによる管理が義務化されいます。その為、日本から輸出する場合も、その製造者がHACCPにより管理がされていることが、最低限必要となっています。

今年は東京オリンピックパラリンピックの年です。日本の食品衛生管理の水準が、国際的に見ても遜色がないものであることを、国内だけでなく来日した外国の方に示す良い機会であるとも言えます。多くの食品に関わる事業者の皆様が、このHACCPの理解を進め制度化に対応していくことで、わが国の食の安全を国内外に示すことができます。その結果、更に日本を好きになっていただく、そんな好循環への絶好の機会と思っています。

一般社団法人食品経営支援協議会では、HACCPの導入前の研修から、計画の策定とその運用に関して、トータルなご支援をおこなっています。そのほか、事業者の販路開拓に向けた「展示会活用や営業力強化、海外展開」といったコンサルティングも可能です。お気軽にご相談ください。https://fmsc.or.jp/contact/

執 筆 者

秋島 一雄
一般社団法人 食品経営支援協議会 代表理事
中小企業診断士  / 東京商工会議所中小企業相談センターコーディネーター  / HACCP コーディネーター / 産業能率大学兼任講師

総合商社の営業マンから経営コンサルタントとして独立。中小企業専門のコンサルタントとして、東京商工会議所を含め公的機関にて年間200件以上の経営支援実績がある。また販路開拓・マネジメント・海外展開・創業塾等の研修・セミナーの講師も務め、その現場感覚のある指導でリピーターも多い。

 

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