食品経営支援協議会の専門家によるコラム。今回は、中小企業診断士の光武 晋一FMSC講師が小規模企業共済について解説します。

 

みなさんこんにちは。食品経営支援協議会(FMSC)講師の、中小企業診断士 光武 晋一 です。今年も12月となり、個人事業主の多い小規模飲食店のみなさまの決算の時期となってまいりました。そんな小規模事業者のみなさま向けに是非お勧めしたい節税と将来のためになる一石二鳥となる、国が行っている共済制度、「小規模企業共済」をご紹介したいと思います。

年度で黒字となった部分について、ご存じの通り個人事業主であれば所得税、法人であれば法人税がかかりますよね。その際に使うと非常に有用な制度が「小規模企業共済」です。小規模企業共済には、個人事業主と小規模企業の役員が加入することが可能です。この制度のよいところを簡単に説明しますと次のようなものとなります。

・全額が所得控除の対象となる。
・掛金月額はいつでも増減可能
月額1,000円から7万円までの範囲で500円単位で可能。
掛金が支払えない場合には一時期的に支払いを止める「掛け止め」も可能。
退職金代わりになる。
  6カ月以上積み立てると、廃業(役員の退職)した場合に共済金を受け取ることができる。
一括受取を選択すると「退職所得」扱いになり、「事業所得」などに比べて税負担が大幅に軽くなる。
貸付制度が利用できる。
加入者は、掛金の範囲内で事業資金の貸付制度を低金利で利用することができる。
緊急の融資が必要な際に速やかな対応が可能。

1番目の「全額が所得控除の対象となる」というのと、引退の際の受け取り時に「退職所得扱い」というところが本当に有利な制度となっています。加入期間が20年以内だと元本割れするというデメリットもありますが、実際にはメリットのほうが非常に多い仕組みです。
個人事業主のみなさまは、まだ期中で決算の集計は来年となってしまうとは思いますが、だいたいのところで黒字となりそうな場合、12月中に窓口をおこなっている金融機関で(12ヶ月一括)納付をすることで、今年の確定申告で最高84万円の所得控除の適用が可能です。法人化されている役員の方でも、同様に12月中に加入することで、年末調整や確定申告で還付を受けることができます。

今年はコロナ禍により、みなさま例年とは違う決算となっていると思います。特に「持続化給付金」「家賃支援給付金」「雇用調整助成金」「休業協力金(各自治体)」等々の施策を利用し、初めて給付金や助成金を取得された事業者のみなさまも多いですよね。このような給付金や助成金のすべて、特例がない限り課税対象となります。ちなみに国民に一律給付された10万円の「特別定額給付金」は、特例法を制定して非課税となっています。特に個人事業主の方は、このことを考慮して今年の所得を計算してみてください。

制度の詳細は、所管している「独立行政法人 中小企業基盤整備機構」のWebサイトをご確認ください。https://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/
メリットの多いおすすめの制度ですので、みなさまの将来への備えの選択肢としてご紹介いたしました。

一般社団法人食品経営支援協議会では、このような経営の問題発見・課題解決につながるコンサルティングが可能です。お気軽にご相談ください。https://fmsc.or.jp/contact/

執 筆 者

光武 晋一
一般社団法人食品経営支援協議会 講師
中小企業診断士  / 経営コンサルタント  / 独立行政法人中小機構人材支援アドバイザー / 情報処理安全確保支援士

システムエンジニアとして活動後、炭火焼鳥居酒屋を開業し、飲食店での販売促進、集客力向上、Webの活用、衛生管理を実践。中小企業、商店街と地域商業の活性化、創業者の支援へ携わる。

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