本日は沼博之講師より、新しく実態等に応じた営業許可・届出制度について解説します。

 

みなさん、こんにちは。食品経営支援協議会(FMSC)講師の沼博之です。

2018年に食品衛生法が改正され、「新しく実態等に応じた営業許可・届出制度」が来年2021年の6月1日から施行されることになりました。公衆衛生に与える影響が少ないものとして政令で定める下記の営業以外はすべて営業許可または届出が必要となります。

 <届出が不要な業種 >
1 食品又は添加物の輸入業
2 食品又は添加物の常温貯蔵又は運搬のみをする営業(ただし、食品の冷凍又は冷蔵倉庫業を除く。)
3 常温で長期間保存しても腐敗、変敗その他品質の劣化による食品衛生上の危害の発生の恐れがない 包装食品の販売業
4 合成樹脂以外の器具・容器包装の製造業
5 器具・容器包装の輸入又は販売業

このほか、学校・病院等の営業以外の給食施設のうち、1 回の提供食数が20食程度未満の施設や、 農家・漁家が行う採取の一部と見なせる行為(出荷前の調製等)についても、営業届出は不要です。 

営業許可と届出制度の違いは、

・営業許可~※施設基準あり・更新制あり
・届出制度~施設基準なし・更新制なし

ただし、届出制度にも「HACCPに沿った衛生管理計画の作成」と「食品衛生責任者」は必要となります。
※施設基準も、従来の各自治体の条例で定められていて全国一律でなかったものが、新たに国の施設基準ができ、各自治体がその基準を参酌(さんしゃく)して条例を決めることになりました。施行日は2021年6月1日です。新施設基準には従来の基準と下記の変更点がありますので注意してください。

<追加事項>
ねずみ及び昆虫の侵入を防止できる設備を有すること。
・作業区分に応じて、間仕切り等により必要な区分がされ、(ゾーニングされている工場においては)~又は「空気の流れ」を管理する設備が設置されていること
・食品等を取り扱う作業をする場所の真上は、結露しにくく、結露によるかびの発生を防止し、及び結露による水滴により食品等を汚染しないよう換気が適切にできる構造は設備を有すること。
・従業員の手指を洗浄消毒する設備~水栓は洗浄後の手指の再汚染が防止できる構造であること。
・食品又は添加物を運搬する場合にあっては、汚染を防止できる専用の容器を使用すること。
・組立式の機械器具等にあっては、分解及び清掃しやすい構造。
・水道事業等により供給される水又は飲用に適する水を施設の必要な場所に適切な温度で十分な量を供給することのできる給水設備を有すること。
・排水設備は~十分な排水機能を有し汚水の逆流により食品又は添加物を汚染しないよう配管され~。

<変更事項>
・作業場の内壁は、床面から1m以上の高さまで耐水性材料

作業場の内壁は、床面から容易に汚染される高さまで、不浸透性材料

・作業場は、百ルクス以上の明るさ
      ↓
作業・検査・清掃を十分にすることができる必要な照度

・作業場には、ふたの付いた廃棄物容器

作業場には、汚液及び汚臭の漏れない構造の廃棄物容器

新営業許可は、現行の34業種から統合・廃止等で下記の32業種に変更になります。

以下の7つの新営業許可業種は、施行日から起算して3年間の猶予期間があります。つまり、3年間の間に「新たな施設基準」の準備をしてくださいということです。

16.水産製品製造業、18.液卵製造業、26.複合型そうざい製造業、27.冷凍食品製造業、28.複合型冷凍食品製造業、29.漬物製造業 31.食品の小分け業
また、複合型は1つの営業許可で良いという利点がありますが、HACCPに基づく衛生管理」が求められますので、注意が必要です。

次に届出業種には、下記のような業種があります。

営業許可業種及び届出が不要な業種は、すべて届出制度の対象になります。

2021年6月1日の時点ですでに営業をされている事業者には、6ヶ月間の届出猶予期間があります。6月1日以降の届出においては、猶予期間は設けられていません。また、新届出業種ではあるが旧法で営業許可をすでに取得されている事業者は、新法の届出をしたものともなされますので、届出は不要です。
改正前に旧営業許可を受けている事業者も、その営業許可の有効期限満了の日までは、そのまま旧営業許可で営業ができます。

最後に、新営業許可の新たな業種の「食品の小分け業」についてお話します。
この新設される小分け業の対象となる食品及び添加物は、営業許可業種に限定されますので、届出業種の食品及び添加物は対象外になります。今まで許可の必要なかった小分けをされている事業者は、今後許可に伴う施設基準及びHACCPに沿った衛生管理計画の作成、食品衛生責任者が必要となります。
3年間の猶予期間が設けられていますので、しっかりと準備してください。

一般社団法人食品経営支援協議会では、食品衛生に関連するご支援のみでなく、経営課題解決に向けたご支援もおこなっています。お気軽にご相談ください。
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執筆者

講師:沼

沼  博 之
一般社団法人 食品経営支援協議会 理事
JHTC認定 HACCPリードインストラクター・上級HACCPコーディネーター・中級食品表示診断士・ASIAGAP指導員

食品業界(量販店、卸問屋、食品メーカー)の川上から川下まで経験し、販売・営業に31年間携わる。食品メーカー在籍中にはISO22000の食品安全チームリーダーを務め、HACCP構築のための社内外の指導教育、セミナー講師として活動。特に受講者の目線に立ったわかりやすい指導には定評がある。上記資格以外にも食の6次産業化プロデューサー・プロレベル4、JGAP審査員研修終了認定者、日本オーガニック検査員協会講習終了認定者でもあり、現在も活動領域拡大中。

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