食品経営支援協議会の専門家によるコラム。今回は長年微生物の研究にたずさわっている、健康管理や食品衛生のエキスパート山口が、土と微生物についてお話します。

みなさん、こんにちは。食品経営支援協議会(FMSC)の山口 幸三です。

農業に携わっていない人でも「肥沃」という言葉は聞いたことがあるでしょう。なんとなく「養分がたくさんあって作物が育ちやすい土」といったイメージがあるのではないでしょうか?
そのイメージで正しいのですが、今回はもう少し「肥沃」という言葉を深掘りしていきましょう。キーワードは「微生物」です。

肥沃な土というのは、「無数の微生物(カビとか細菌とか)が生育していて養分のバランスが整っている土」のことです。
では、なぜ微生物が必要なのでしょうか?

その答えは2つあります。順に確認していきましょう。 

・微生物が天然の肥料を作ってくれる

微生物は落ち葉や動物の糞尿などを分解し、最終的に植物が吸収できる栄養素に変換してくれる。この天然の肥料は「堆肥」と呼ばれていますね。

(例)落ち葉⇒アンモニア⇒亜硝酸塩⇒硝酸塩(植物が吸収できる栄養素)
少し専門的ですが、微生物落ち葉や動物の糞尿などを分解してアンモニアを作り出します。さらに別の微生物がこのアンモニア亜硝酸塩(亜硝酸カリウムなど)に変換し、さらに別の微生物硝酸塩(硝酸カリウムなど)に変換することで植物が吸収できる形になります。
化学肥料を使わない有機農業では、この堆肥がとても重要になりますね。 

・微生物が保水性、排水性、通気性にすぐれた土を作ってくれる

作物がよく育つ土の条件として、「保水性、排水性、通気性が高い」ことがあります。これを可能にしてくれるのが微生物なのです。
微生物が作り出す粘液などによって小さな土の粒子どうしがくっつきます。このような小さな土の塊のことを団粒といいます。つまり、微生物がたくさんいる土は団粒だらけなのです。
団粒と団粒の間は当然、すきまだらけになります。このすき間があるおかげで、保水性、排水性、通気性が高くなるのですね。

今回は肥沃な土について微生物の観点で説明してきました。微生物(カビや細菌のこと)と聞くと「気持ち悪い」と思うかもしれませんが、私たちの生活にとても役立っていることも理解しておいてくださいね。

一般社団法人食品経営支援協議会では、HACCPの導入前の研修から、計画の策定とモニタリングを中心とした運用に関して、トータルなご支援をおこなっています。お気軽にご相談ください。https://fmsc.or.jp/contact/

執 筆 者

山 口 幸 三
一般社団法人 食品経営支援協議会 理事
株式会社フローラボ 代表 https://flolabo.co.jp
上級HACCPコーディネーター  

大学・大学院・製薬会社勤務時代の15年間、一貫して微生物の研究に従事。腸内細菌や食中毒原因菌など幅広い微生物に関する専門知識を有する。製薬会社を退職後は、健康管理や食品衛生に関する法人を設立。専門的な内容をわかりやすく伝えるセミナーには定評がある。

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