みなさん、こんにちは。食品経営支援協議会(FMSC)講師のHACCPリードインストラクター沼博之(ぬまひろゆき)です。
今回は、第1回からの続きです。前回では煮込みの調理工程が、必須管理点になるというお話をさせていただきました。
「肉じゃが」の具材の野菜や牛肉についている食中毒の原因になる微生物は熱で殺菌できます。
具体的には、多くの微生物は75℃1分以上の加熱で、ノロウイルスだけは85℃~90℃1分半以上の加熱で殺菌できます。
つまり、具材の中心まで火が通るようにしっかりと沸騰させて煮込めば、大丈夫なのです。
ここで大事なポイントは、「具材の中心まで」ということです。沸騰して何分たてば一番大きな具材の中心温度が90℃以上になっているのかを、中心温度計を使って定期的に確認してください。
沸騰させてから○○分煮込むことを「管理基準」といい、沸騰を目で確認してタイマーで時間を計ることを「モニタリング」、定期的に中心温度を確認することを「科学的根拠」といいます。
そして、それらをきちんとやっていることを他の人に証明するために、「記録」が必要となります。
言葉で「やっているよ!」だけではダメなのです。
これまで「肉じゃが」の煮込みの調理工程を説明してきましたが、実は微生物の中には熱で死なない芽胞形成菌という微生物がいます。加熱した後の「肉じゃが」には、その芽胞形成菌が生存していて、増殖する機会を密かにうかがっているのです。
<次回へ続く>
一般社団法人食品経営支援協議会では、このような経営のお悩みの解決につながるコンサルティングが可能です。お気軽にご相談ください。
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執筆者
沼 博 之
一般社団法人 食品経営支援協議会 理事
JHTC認定 HACCPリードインストラクター・上級HACCPコーディネーター・中級食品表示診断士・ASIAGAP指導員
食品業界(量販店、卸問屋、食品メーカー)の川上から川下まで経験し、販売・営業に31年間携わる。食品メーカー在籍中にはISO22000の食品安全チームリーダーを務め、HACCP構築のための社内外の指導教育、セミナー講師として活動。特に受講者の目線に立ったわかりやすい指導には定評がある。上記資格以外にも食の6次産業化プロデューサー・プロレベル4、JGAP審査員研修終了認定者、日本オーガニック検査員協会講習終了認定者でもあり、現在も活動領域拡大中。
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