食品経営支援協議会の専門家によるコラム。今回から数回に分けて、HACCPの12手順についてご紹介します。

 

みなさん、こんにちは。食品経営支援協議会(FMSC)理事の秋島  一雄です。

新型コロナウイルスの猛威が続き不安が毎日続いていますが、読者の皆様はいかがお過ごしでしょうか?まだまだ先は見えないのですが、自粛と自宅待機が余儀なくされている現状、その後の準備をすることは、より良い復活のためにも、また精神衛生上も前を向くことでベターな方向になると信じています。何よりも一刻も早い収束を本当に心から祈念しています。

これからこのブログを通して、HACCP12手順の簡単な考え方を、ご紹介していきます。前半の手順1から5(準備段階)を秋島が、手順6から12(HACCP7原則)を金子がご紹介していきます。

手順1 HACCPチームをつくる

チームを作ることはHACCP導入の第一歩です。
製品を作る為のすべての情報がHACCPチームに集まるように、各部門でそれぞれ実務に精通した人を選出する事がポイントです。その際に、HACCPに関する専門的な知識を持った人が社内にいない場合は、外部の専門家にアドバイスを求めましょう。

HACCPのチーム活動

HACCPによる管理は、その名のとおりHA(危害分析)とCCP(重要管理点)からなります。危害分析の対象となる食品の危害(=ハザード)の直接的なものとしては、病原微生物などの生物的要因・化学物質などの化学的要因と、硬質異物などの物理的要因があります。後者には、食品の開発や設備とそのメンテナンスと従業員の対応や教育が必要になります。

つまり食品安全に向けた活動は、その事業者の活動ほぼすべてが包まれてできあがるものなので、
①製品情報、HACCPなど様々な知識
②組織として対応、体制
③継続できる仕組み
となります。そのために、全社的に取り組む、各部門の担当者を集めたチームでの活動が必要です。

HACCPのチーム編成」

自社自店の現場のことは当事者が一番知っていますが、食品の安全のために、製造担当や品質管理担当以外にも、原材料の購入に関わる購買担当や、完成品を出荷し顧客に届ける物流担当、さらには社内の人の動きを把握する人事担当や対外的な対応をする総務担当、が必要になります。規模が小さく多くの業務を1人でこなしている事業者もいれば、部門毎に数名を抱える事業者もいると思います。
重要なことは、チームが食品の安全のために、「問題意識」「危機意識」「当事者意識」を持って取り組むということです。
生物的要因や化学的要因に関しての必要な知識は外部専門家を活用する必要もあると思います。しかし運用をするのは自社の現場であるので、これらの3つの意識を持って取り組むことが重要になります。

HACCPのチームリーダーとメンバーの役割」

チームを作る以上、活動に向けての複数の人間で目的達成に向けた、意見の取りまとめと決断そして行動を促すといったリーダーシップを発揮する人材が必要です。リーダーには、社内での協議は不可欠ながらも、標準化や改善へのルール変更や衛生管理に必要な設備の導入、等への大きな権限を与える、と同時に責任を持てる人、でなければなりません。

メンバーは、全社にHACCPでの活動が浸透するように、3つの意識を持って積極的に関わり、リーダーに遠慮なく現状報告や改善提案をしていく姿勢が必要です。さらにチーム以外の従業員との接点として、方針の伝達やフィードバックをおこない、全社的な活動に向けた潤滑油の役割を担わねばなりません。その一方でこの活動を通じ、様々な知識や組織運営のスキルを身に着けるといった人材育成にもつながります。

一般社団法人食品経営支援協議会では、HACCPの導入前の研修から、計画の策定とモニタリングを中心とした運用に関して、トータルなご支援をおこなっています。お気軽にご相談ください。https://fmsc.or.jp/contact/

執 筆 者

秋島 一雄
一般社団法人 食品経営支援協議会 代表理事
中小企業診断士  / 東京商工会議所中小企業相談センターコーディネーター  / HACCP コーディネーター / 産業能率大学兼任講師

総合商社の営業マンから経営コンサルタントとして独立。中小企業専門のコンサルタントとして、東京商工会議所を含め公的機関にて年間200件以上の経営支援実績がある。また販路開拓・マネジメント・海外展開・創業塾等の研修・セミナーの講師も務め、その現場感覚のある指導でリピーターも多い。

★食品経営支援協議会では、経営のお悩みの解決につながるコンサルティングが可能です。お気軽にご相談ください。お問い合わせはこちらから

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