食品経営支援協議会の専門家によるコラム。HACCPの12手順について解説します。本日は第12回です。

 

みなさん、こんにちは。FMSC 講師の中小企業診断士 金子和博です。

今回は、HACCP7原則12手順の内、最後にあたる「手順12【原則7】記録と保存方法の設定」についてご紹介します。HACCPにおいては、正確な記録をつけて、保存しておくことが重要です。
しっかりと記録をしておくことで、必須管理点(CCP)をはじめとした工程管理が、HACCP計画に沿ってしっかりと実施されたことを証明できるからです。

記録する目的とは

万が一、自社で製造した食品を原因とする健康被害等の問題が生じてしまった場合でも、正確な記録があれば、工程ごとに衛生管理の状況を遡って調査する事ができ、原因追究の際、大事な材料とすることができます。また、その他には、「正確な衛生管理を行っている事を対外的に証明できる」「数値のばらつき等から管理の傾向をみる事ができる」等の効果を期待することができます。

記録のルール

記録は、遡って確認した際に、その時の状態を適切に把握できるものである必要があります。その為、記録は正確で、また必要な時に利用可能である必要があります。よって、予めルールを作っておくなど、標準化しておく必要があります。
ルールの一例を以下にご紹介しますので、参考にしてください。

【ルール(一例)】
・実施した本人が記録する。
・記入するタイミングを後回しにせず、リアルタイムに記入する。
・メモ等を使用せず、記録表に直接記入する。
数値は正確に記入する。
・訂正する際は、修正液等は使用せず、二重線で行い、訂正前のデータも確認できるようにする。
・誰がどのタイミングで記録を確認するのか、検証方法等を明確にする。
・記録表の保存期間は、”消費期限÷賞味期限+何日”等、問題が発生した際にも確認できる期間の設定をする。

参考までに、必須管理点(CCP)のモニタリングの際の記録例を提示しておきますので参考にしてください。

上記表は、「モニタリング記録表」ですが、その他「改善措置記録」や「測定機の較正記」等の記録表が他にもあります。
記録をつけるという事は非常に重要な作業ですが、たた付けて満足するのではなく、しっかりとした管理体制のもと保管し、定期的に見直しをすることも重要です。

当ブログにて12回にわたり、HACCPの7原則 12手順について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか?
改正食品衛生法により、2020年6月からHACCPに沿った衛生管理が制度化され、経過措置期間が終了する、2021年6月より完全制度化となります。これによって、食品製造業者だけでなく、飲食店の事業者の方たちも事業規模に関係なく、HACCPの考えを取り入れた、適切な衛生管理を行う必要があります。
ただ、“HACCPが必要なことは分かるけど、何をどうしたらいいのか分からない”、といった事業者様がほとんどかと思います。関連書籍や、当ブログを参考に進めて頂くことも一つですが、専門家に相談をしながら準備をすることで、本業に支障なく、スムーズかつ適切に導入することができると思いますので選択肢の一つとして検討されることをお勧めします。

一般社団法人食品経営支援協議会では、HACCPの導入前の研修から、経営のお悩みの解決につながるコンサルティングが可能です。お気軽にご相談ください。
https://fmsc.or.jp/contact/

執 筆 者

金子 和博
一般社団法人食品経営支援協議会 講師
中小企業診断士 / HACCPコーディネーター / 中級食品表示診断士

食品業界(商社、メーカー<ファブレス含む>)に20年以上勤務し、新規事業開発、国内・海外への販路開拓等に携わる。商品開発、原料の買付から、生産、営業(販売)等、幅広い経験を活かし、「商品戦略×チャネル戦略」を軸にしたマーケティング支援を行う。

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