みなさん、こんにちは。食品経営支援協議会(FMSC)講師の沼博之です。
2025年11月末、ネスレのオランダ工場で routine 検査 (ルーチン検査) 中に嘔吐毒素セレウリドが検出され、12月10日に大規模リコールが開始されました。
調査の結果、汚染源はアラキドン酸(ARA)オイルであり、2024年10月以降の複数バッチが汚染されていたことが判明しました。
事故の核心は、HACCPの前提であるハザード分析において「耐熱性毒素(セレウリド)混入」という特殊リスクを想定していなかった点にあります。
セレウリドは加熱で分解されないため、原料段階での管理が唯一の防御線であったにもかかわらず、サプライヤーからの毒素検査証明書(CoA)の入手が行われていなかったことが重大な盲点となったと考えられます。
おう吐毒素(セレウリド)は毒素そのものであるため、一般生菌数や大腸菌群などの routine 微生物検査では検出できず、別途毒素検査を行う必要があります。
さらに、 ARA(アラキドン酸)オイルは乳児用粉ミルクにおける主要な脂質原料として国際的に広く利用されており、今回使用され事故の原因となった中国の Cabio Biotech (カビオ・バイオテック) 社(武漢)は、ARAオイルの供給を担う大手サプライヤーの一社として重要な位置を占めていました。
「多くの大手メーカーが使っている=安全性が担保されている」 という“安心の錯覚”が生まれ、サプライヤー監査や原料特性の再評価が 後回しになっていたことも要因の一つと考えられます。
結果として、 乳児用粉ミルクという最も脆弱な食品カテゴリーで、60か国以上に影響する大規模事故発生につながりました。
この事故から学ぶべき点を下にまとめました。
・広く使われていても疑う。
・普及率と安全性は別物と考える。
・「みんな使っている」は根拠にならない。
・常識を点検し続ける。
一般社団法人食品経営支援協議会では、食品衛生に関連するご支援のみでなく、経営課題解決に向けたご支援もおこなっています。ITを活用した働き方の見直しや、生産性向上に向けた取り組みなど、お気軽にご相談ください。https://fmsc.or.jp/contact/
執筆者

沼 博 之
一般社団法人 食品経営支援協議会 理事
JHTC認定 HACCPリードインストラクター・上級HACCPコーディネーター・中級食品表示診断士・ASIAGAP指導員
食品業界(量販店、卸問屋、食品メーカー)の川上から川下まで経験し、販売・営業に31年間携わる。食品メーカー在籍中にはISO22000の食品安全チームリーダーを務め、HACCP構築のための社内外の指導教育、セミナー講師として活動。特に受講者の目線に立ったわかりやすい指導には定評がある。上記資格以外にも食の6次産業化プロデューサー・プロレベル4、JGAP審査員研修終了認定者、日本オーガニック検査員協会講習終了認定者でもあり、現在も活動領域拡大中。
★今後のセミナー開催一覧はこちらから>> 今後のセミナー一覧








