みなさんこんにちは。食品経営支援協議会(FMSC)講師の、中小企業診断士 光武 晋一です。
本日は「リスクマネジメント」について、ご紹介いたします。
近年、地震や台風による自然災害が増加しています。また、IT技術の向上やグローバル化により急速に経営環境の多様化や複雑化が進んでいます。
このような状況の中、みなさまも事業や生活に対する不安を感じられているのではないでしょうか。将来がどうなるのかわからず不確実であると、損失や損害などの「リスク(危険)」を感じ、不安な気持ちが増えるのです。
そのような「リスク」をうまく管理することが、安心した意志決定につながります。リスクを想定してコントロールしていく基本的な考え方が「リスクマネジメント」と呼ばれる手法です。
当協議会でセミナーや導入支援を行っている、食品の安全性の管理手法である「HACCP」や「JGAP」でも、「リスクマネジメント」の考え方が含まれています。「リスクマネジメント」は、様々な場面に応用できる基本的な考え方となります。
リスクマネジメントとは、将来起こりうる危険を想定し、損害を最小限のコストで効果的に処理するための経営管理手法です。
リスクマネジメントは次の4つの手順で行います。
1. リスクを想定する
どのようなリスク(危険)があるかをたくさん想定し、「リストアップ」していきます。絶対に起きなさそうなことや、考えたくないようなひどいことも挙げていくことが重要です。想定できるリスクは必ず起こると考えてリストを作りましょう。
2. リスクを分析する
リストアップしたリスクの一つずつを「分析」します。発生する可能性(確率)、起こった時の影響の大きさを明らかにしていきます。
3. リスクを評価する
リスクの発生確率や起こった時の影響の大きさを比較し、ルール作りや対応の際の順序などの優先度をつけます。
4. リスクの扱いを決める
優先度の高いリスクから対策を検討します。代表的な対応方法は次の4つとなり、ひとつもしくはいくつか合わせて最適な対策とします。
<回避>
大きいリスクが起こることはやめてしまう。川の氾濫から回避するため、川の近くから引っ越す等。
<低減>
リスクの発生可能性を下げる、もしくは発生した際の影響の大きさを小さくする。地震対策として、お金をかけて耐震補強をする等。
<移転>
リスクの影響を外にだす。災害による損害をまかなえるよう、保険をかける等。
<許容>
リスクが発生したとしても受け入れる。リスクが起きても受け入れられる大きさであるか、そもそも対策が作れない(隕石が降ってくる等)場合。
以上、災害を例にしてリスクマネジメントの手順についてご紹介しました。
事業運営でも、自動車の運転でも、情報セキュリティでも、最初はリスクを想定することから始まります。全部の手順を経て、より高度にリスクへの備えをすることができれば良いのですが、なかなか大変そうですよね。
まずはリスクの想定をする癖をつけることから始めましょう。リスクを想定する癖がつけば、おのずと大きいリスクへの対策の意識が生まれます。それが出てくれば、あとは明文化すれば先に進みます。
一歩目の「リスクを想定する」ことを癖にすることが大事です。
リスクを管理することは自身の持つ「不安の解消」や、他人からの「行動への信頼」につながりますので、是非実行してください。
一般社団法人食品経営支援協議会では、このような経営の問題発見・課題解決につながるコンサルティングが可能です。お気軽にご相談ください。
https://fmsc.or.jp/contact/
執 筆 者
光武 晋一
一般社団法人食品経営支援協議会 講師
中小企業診断士 / 経営コンサルタント / 独立行政法人中小機構人材支援アドバイザー / 情報処理安全確保支援士
システムエンジニアとして活動後、炭火焼鳥居酒屋を開業し、飲食店での販売促進、集客力向上、Webの活用、衛生管理を実践。中小企業、商店街と地域商業の活性化、創業者の支援へ携わる。
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