皆さんこんにちは。食品経営支援協議会(FMSC)講師の中小企業診断士 加茂多恵です。
今回は、農林水産省が、新型コロナウイルス感染症の影響を克服するために、感染拡大防止対策を行いつつ、販路回復・開拓や事業継続・転換のための機械・設備の導入や人手不足解消の取組を総合的に支援することによって、地域を支える農林漁業者の経営の継続を図るために設置した、『経営継続補助金』についてご説明します。
こちらの補助金は、先日1次募集の採択結果が発表され、2次募集が、10月19日から開始されました。期間は11月19日までとタイトなスケジュールになっていますが、農林漁業を営む方向けに対象が広く取られていますので、農林漁業者にとって使いやすい補助金となっています。
概要を見ると、これまで当ブログでも説明している『小規模事業者持続化補助金』にも似ているところが多くありますが、対象や要件に違いがありますので、その違いを含めてご説明させていただきます。
まずは対象からみていきましょう。対象要件は、主に2つあります。
(1)農林漁業を営む個人又は法人(農事組合法人、漁業生産組合その他農林漁業を営む株式会社、持分会社、一般社団法人、公益社団法人、社会福祉法人、NPO法人、森林組合等、漁業協同組合等)であること。
こちらの要件には、小規模事業者持続化補助金では対象ではなかった方も含まれています。
では、どちらも対象である方が、同じ事業に対してどちらの補助金に対しても申請可能かというと、そういうわけでもありません。基本的に、同一の事業内容に対して、2つ以上の補助金の活用は出来ませんので、ご注意ください。
(2)常時使用する従業員数が20人以下であること。
こちらの要件には、個人事業主の場合、本人と同居の親族従業員や、農事組合法人の構成員を含めないなどの「常時使用する従業員数」に含めない要件が決まっており、こちらも対象が広く設けられています。
また、複数の個人で共同で農林漁業者を営む方々もいらっしゃると思います。その場合、『共同申請』が可能で、構成員の各個人が20人以下かどうかが判断基準となります。ただし、農事組合法人(1号法人)として農作業の共同化に関する事業のみを行い、農業経営を行っていない場合は対象にはなりません。農事組合法人(1号法人)の構成員として、農業経営を行っている場合は、申請が可能です。
(「経営継続補助金関係」のQ&A(未定稿)令和2年7月9日現在を元に記載しています)
受付期間は、 令和2年11月19日(木)[郵送:締切日当日消印有効]となっていますが、実際には、自分で作成したものをただ19日までに事務局に送ればいい、という期限ではありません。
”支援機関の支援を受けながら取り組む事業であること”が補助要件にあり、支援機関が発行する書類も合わせて提出する必要があります。支援機関からの書類は、基本的に後日の発行となり、支援機関によっては、11月19日よりも早く締め切られる可能性があります。
支援機関の支援と書類発行は必須ですので、申請の際には、早めに支援機関に問い合わせましょう。
支援機関は、農協や漁協などが該当します。詳しくは、こちらで支援機関の一覧を確認することができます。
補助の要件については、下記のように定められています。
まず1つ目は、申請内容についてです。これらの内容に合致するかを、新型コロナウイルス感染症の影響を乗り越えるための「経営計画」として、申請書で示す必要があります。
(1)次のいずれかを含む経営の継続に関する取組に要する経費【補助率:3/4 補助上限額100万円】
・国内外の販路の回復・開拓
・事業の継続・回復のための生産・販売方式の確立・転換
・円滑な合意形成の促進等
※(1)の経費の1/6以上を「接触機会を減らす生産・販売への転換」又は「感染時の業務継続体制の構築」に充てる必要があります。
つまり、ただ作業が効率的になる機器を買うだけでなく、人と人が接触機会が減少するなどを含めた計画である必要があります。
補助金は基本的に、採択後に経費とする必要がありますが、今回の経営継続補助金については、令和2年5月14日以降に発生した経費も対象とすることができます。また、採択された場合の事業実施期間の終了は、令和3年2月末を原則とされています。採択後に購入する場合は、機器の納期は間に合うかどうかも念頭に入れておくことが必要です。また、10万円以上の単価に対し、現金払いは認められないなど、細かいルールもありますので、必ず経費として参入可能か詳細の確認を行ってください。
(2)感染拡大防止の取組に要する経費【補助率:定額 補助上限額50万円】
※業種別ガイドライン等に則した取組である必要があります。
※感染拡大防止の取組に対する補助額は(1)の取組に対する補助額を超えることは出来ません。
補助要件の2つ目は、支援機関の支援を受けながら取り組む事業であること、です。
補助金事務局からの委託を受けた支援機関からの助言、指導等の支援を受ける必要があります。前述しましたが、これは申請の前に必要です。支援機関に申請書類を確認してもらい、支援機関からの書類も合わせて郵送する必要があります。支援機関の一覧で、ご自身の対象機関を確認してから指導いただきましょう。
3つ目の要件は、共同申請の場合です。複数の農林漁業者が行う事業の場合は、連携する全ての農林漁業者が関与する事業であることが必要です。各農林漁業者の役割分担や、経費の支出が明確になっている必要があります。
いかがでしたでしょうか。一般社団法人食品経営支援協議会では、補助金の申請に関するご相談や、様々な事業経営に関しての研修やコンサルティングを含めたトータルなご支援をおこなっています。お気軽にご相談ください。https://fmsc.or.jp/contact/
執 筆 者
加茂 多恵
一般社団法人食品経営支援協議会 講師
中小企業診断士 / HACCPコーディネーター / JGAP指導員
立ち飲み居酒屋から二つ星レストランまで、様々な飲食店を経験。調理・接客をはじめ、企画から現場運営に関わる、飲食店の総合的な見識を持つ。
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