食品経営支援協議会の専門家によるコラム。今回は、中小企業診断士の光武 晋一FMSC講師による実際の居酒屋を事例とした、新型コロナウィルス感染症支援策のご紹介です。

 

みなさんこんにちは。食品経営支援協議会(FMSC)講師の中小企業診断士 光武 晋一 です。

現在様々な事業者さまが新型コロナウィルス感染症対応で大変な状況となってることとは存じますが、心より応援いたしております。
私も実は焼鳥屋を経営しており、今回のコロナウィルスの影響で現在も店舗は休業状態となって大変な目にあっています。しかし国や自治体でも、このような中小事業者や個人事業主に対しての支援を打ち出しておりますので、今回は私の店での対応を例に、支援策の活用についてご紹介したいと思います。

この居酒屋では東京都の自粛要請に従い、5月6日まで通常営業は休業にして、テイクアウトのみでの営業を夜の19時まで行うこととしました。それに伴い、従業員の仕事はなくなるため休みとし、休業補償として給料は支払うこととしています。

店舗経営をしていく上で、いまとても重要なことは「現金を手元に持っておくこと」です。借入でもよいので、現金を確保しておくことが重要な経営上の取組となります。少し余裕があったとしても、この先が見通せない現状ですので、出来る手段を使って現金を確保することが大事です。

そこで受けることのできる支援策を活用していくこととしました。

持続化給付金

https://www.jizokuka-kyufu.jp/

新型コロナウィルス感染症の影響により売り上げが前年同月比で50%以上減少している法人や個人事業主に対して、法人は200万円、個人事業者などへ100万円を上限に、現金が給付されます。5月1日より、電子申請の受付を開始しました。

雇用調整助成金 新型コロナウィルス感染症にかかる特例措置

https://www.mhlw.go.jp/content/000625731.pdf

新型コロナウィルス感染症にかかる特例措置として、4月1日から6月30日までを緊急対応期間と位置付け、助成率の拡大や、申請書類の簡易化が行われています。書類がかなり簡易になっていますので、しっかり活用していきます。
※助成率は現在解雇を伴わない中小企業で9/10となっていますが、10/10への引き上げが検討されています。

雇用調整助成金 新型コロナウィルス感染症小学校休業等対応コース

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07_00002.html

小学生のお子さんがいる従業員(パートさん含む)が、小学校の休業に合わせて休む必要がある場合に支給されます。該当する従業員に、小学校からの案内の写しをもらっておくと、スムーズです。2月27日~6月30日が対象期間ですが、注意点として土日や春休み期間等の小学校がそもそも休みの日は出ないことと、日額の上限が決まっていることです。

この助成金は対象外となっていたため使いませんでした。

東京都感染拡大防止協力金 (東京都)

https://www.tokyo-kyugyo.com/

東京都の支援策です。営業自粛の要請に従った事業者が対象になります。これも利用していきます。申請書類も簡易ですのですぐに申請が可能です。

□東京都感染拡大防止協力金申請書兼事前確認書
→東京都の様式(ダウンロードできます)

□誓約書
→東京都の様式(ダウンロードできます)

□緊急事態措置以前に営業活動を行っていることがわかる書類(写し可)
→昨年度の確定申告書

□業種に係る許可や免許を適正に取得していることがわかる書類(写し可)
→飲食店営業許可証

□本人確認書類
→運転免許証の写し

□休業等の状況がわかる書類
→店頭に貼り付けた案内やWebでの案内

□支払金口座振替依頼書
→入金口座の情報

こちらの説明は東京都の支援内容となりますが、各自治体でも似たような支援があるかと思いますので是非ご確認ください。

業態転換支援(新型コロナウイルス感染症緊急対策)事業 (東京都)

https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/jigyo/conversion.html

新型コロナウィルス感染症の流行に伴う都民の外出自粛要請等に伴い、大きく売上が落ち込んでいる都内中小飲食事業者が、新たなサービスとして「テイクアウト」「宅配」「移動販売」を始めるなどの売上を確保する取り組みに対し、経費の一部を助成してもらえます。
テイクアウト用の包装方法として、真空パック機と保存用冷蔵庫の購入を検討しています。
助成限度額「100万円」で、助成率は4/5となっています。
対象となる経費の例は次のものとなります。
1) 販売促進費(印刷物制作費、PR映像制作費、広告掲載費 等)
2) 車両費(宅配用バイクリース料、台車 等)
3) 器具備品費(WiFi導入費、タブレット端末、梱包・包装資材 等)
4) その他(宅配代行サービスに係る初期登録料、月額使用料、配送手数料 等)
※「募集要項」で必ずご確認ください。
※こちらも東京都の支援内容となりますのでご注意ください。

新型コロナウィルス感染症特別貸付 (日本政策金融公庫)

https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/covid_19_t.html

新型コロナウィルス感染症の影響に伴う社会的要因等により必要とする設備資金および長期運転資金の貸付を行っています。条件は次の通りです。
1.最近1ヵ月の売上高が前年または前々年同期に比し5%以上減少していることまたはこれと同様の状況にあること。
2.中長期的にみて、業況が回復し、かつ、発展することが見込まれること
無担保の上、利子補給3年間は実質無利子となります。積極的に活用するべき仕組みです。

「民間金融機関における実質無利子・無担保融資」制度
5/1より民間金融機関での融資においても実質無利子・無担保・据置最大5年・保証料減免の融資をしてもらえる制度が開始されました。信用保証料が半額又はゼロとなります。また、民間金融機関の信用保証付き既往債務の実質無利子融資への借換えを可能とし、事業者の金利負担及び返済負担を軽減することも趣旨となっています。現在借り入れをされている場合は取引金融機関へご連絡ください。私も信金さんと話を進めています。

このように様々な支援策があり、そのどれもが想像以上に使いやすくなっています。最初にも書きましたが、現在いかに手元に現金を持っておくかが経営上の大きなポイントです。活用できる仕組みを遠慮せずに使いましょう。そしてこの状況の後は今までと同じ事業運営はできない世の中になる、ということも想定し、新しい事業戦略を描きましょう。手元の現金はそのための武器となります。何よりも「前向き」に「やる気」を持つことが大事です!

一般社団法人食品経営支援協議会では、このような経営の問題発見・課題解決につながるコンサルティングが可能です。お気軽にご相談ください。

https://fmsc.or.jp/contact/

執 筆 者

光武 晋一
一般社団法人食品経営支援協議会 講師
中小企業診断士  / 経営コンサルタント  / 独立行政法人中小機構人材支援アドバイザー / 情報処理安全確保支援士

システムエンジニアとして活動後、炭火焼鳥居酒屋を開業し、飲食店での販売促進、集客力向上、Webの活用、衛生管理を実践。中小企業、商店街と地域商業の活性化、創業者の支援へ携わる。

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