みなさん、こんにちは。食品経営支援協議会(FMSC)講師の沼博之です。
2015年に施行された「食品表示法」が、5年間の移行期間を経てついに4月1日からスタートしました。この食品表示法は、もともとあった3つの法律(食品衛生法、JAS法、健康増進法)を、事業者から消費者まで、わかりやすいように1つにまとめたものです。
管轄省庁も従来の厚生労働省(食品衛生法、健康増進法)、農林水産省(JAS法)から、新しく設置された「消費者庁」に移管され一元管理されることになりました。
食品表示法の施行で、加工食品において以下のような表示内容の変更がありました。(生鮮食品は、すでに2016年10月から施行されています。)
皆様の商品表示が食品表示法にきちんと準じているかどうかを、もう一度確認してみましょう。
・原材料と添加物を分けて表示すること。(改行や/で区分)
・分けて表示した添加物も使用割合の高い順に表示すること。
・アレルゲン表示は各原材料・添加物の直後に括弧書きをすること。
(原材料○○を含む、添加物○○由来)
※アレルゲン表示は上記個別表示が基本ですが、表示面積に限りがある場合は従来通りの最後に括弧書きでまとめる一括表示ができます。
(一部に○○・○○を含む)
※アレルゲン表示に今まで使えていた「特定加工食品」(アレルゲンを含むことを予測できると考えられていた食品群)は使用禁止になりました。
(うどん→小麦を含む、オムレツ→卵を含む)
・一般消費者向けの加工食品、添加物において、今まで任意だった栄養成分表示が義務化。
・栄養成分表示のナトリウム表示が食塩相当量表示方法に変更。
※栄養成分表示を省略できるケースもあります。
・加工食品を製造・加工した場所で販売(ケーキ屋など)
・短い期間で原材料が変更になる加工食品(日替わり弁当など)
・年間売上が1千万円以下の小規模事業者
・製造所固有記号は使えなくなりました。
(同じ製品を2つ以上の製造所で製造している場合だけは使用可能)
・表示可能面積が小さい場合(30㎠以下)も、以下の項目は省略できなくなりました。
(名称、保存方法、消費・賞味期限、アレルゲン、L-フェニルアラニン化合物を含む旨、食品事業者の氏名・住所)
・機能性表示食品が新しく追加されました。
(従来は栄養機能食品・特定保健用食品だけ)
・表示適用対象外の販売形態として、「製造した場所で直接販売する場合」、「設備を設けてその場で飲食させる場合」(外食・出前等)があり、表示義務はありません。
・表示適用対象外の「製造した場所で直接販売する場合」において、「容器包装したもの」だけは「安全の情報」の限定表示が必要です。(名称、添加物名、アレルゲン表示、賞味・消費期限、保存方法、遺伝子組換え表示、製造者名と住所)
上記以外に「原料原産地表示制度」も義務化されました。この制度は、輸入品以外のすべての加工食品を原料原産地表示の対象とし、その原材料のうちで「重量の比率が第1位となるもの」の原産地名を表示することを定めたものです。この制度は2022年4月から適用されますので、今から準備しておいて下さい。
食品表示法と関連した法律も知っておく必要があります。食品一般を対象とした食品表示法以外にも、以下の表示に関連した法律があります。
これらの法律の中でも、特に気をつけるべき法律は景品表示法です。表示する際には、優良誤認・有利誤認になっていないかをきちんとチェックする必要があります。
食品表示法は、消費者が商品を購入する際の「選択」と「安全」の情報を提供するための重要な法律です。食品表示は、食品事業者から消費者への情報の「大切な架け橋」であることを認識し、正しい表示を心掛けていきましょう。
一般社団法人食品経営支援協議会では、食品衛生やHACCPに関するコンサルティングが可能です。お気軽にご相談ください。
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執筆者
沼 博 之
一般社団法人 食品経営支援協議会 理事
JHTC認定 HACCPリードインストラクター・上級HACCPコーディネーター・中級食品表示診断士・ASIAGAP指導員
食品業界(量販店、卸問屋、食品メーカー)の川上から川下まで経験し、販売・営業に31年間携わる。食品メーカー在籍中にはISO22000の食品安全チームリーダーを務め、HACCP構築のための社内外の指導教育、セミナー講師として活動。特に受講者の目線に立ったわかりやすい指導には定評がある。上記資格以外にも食の6次産業化プロデューサー・プロレベル4、JGAP審査員研修終了認定者、日本オーガニック検査員協会講習終了認定者でもあり、現在も活動領域拡大中。
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