本日は沼博之講師より、アンカリングについてです。条件や数字について、無意識に決めつけていませんか。

 

みなさん、こんにちは。食品経営支援協議会(FMSC)講師の沼博之です。
私は食品問屋、食品メーカーで営業を25年間経験してきました。今日はその経験を振り返りながら、アンカリングについてお話したいと思います。

アンカリングとは、「最初に提示された数字や条件が基準となって、その後の活動がその基準に縛られてしまうこと」です。この言葉は、船が錨(アンカー)を降ろして停泊するところから来ています。

新規のお客様と商談する時、「今の取引先を変える気持ちはないよ」とか、「○○円より安ければ検討するけどね」という言葉を初めに言われて、次の商談に繋がらないことがよくあります。私自身、やっと新規のお客様と商談のセッティングまでこぎつけても、その言葉で釘を刺され、その後の展開に持っていけなかった苦い経験が多々ありました。

ある時、日頃より懇意にお付き合いさせていただいていた同業他社の経験豊富の方から、次のようなお話をお伺いしました。
ある外食レストランチェーン店にモーニングバイキング食材の商談に行った時に、先方の担当者様より業務用のポテトサラダの見積り依頼を受けました。その時に「価格は○○円までで、今のより美味しいものを」と言われたそうです。
その方は、日を改めてポテトサラダの現物サンプルと見積りを持参して訪問しました。先方の担当者様は、その見積書を見て大変驚かれました。なんとその見積りには前回提示した価格の1.5倍の金額が記載されていたからです。

「価格は一旦横に置かれて、まずは騙されたと思ってこのサンプルを今召し上がってみて下さい。」とまずは試食を勧めました。そのポテトサラダは、今までその外食さんで使われていたものとは、味の違いが瞬時にわかるほど美味しいものでした。
「出来合いのポテトサラダでも、こんなにおいしいものがあるのか・・でも、価格が・・」と悩まれる担当者様に、その方は「ポテトサラダはバイキングで必ず食べる重要なアイテムです。逆に、これが御社の目玉になりませんか?」と提案し、期間限定で試験的に使ってみることを提案しました。

結果は・・大好評!で、来店客数が増え、従来品との価格差はまったく問題にはなりませんでした。また、その外食の担当者様からも、「今まで価格に囚われていて気付かなかった素晴らしい提案をしていただき、本当にありがとうございます!」との嬉しい感謝の言葉も頂戴したとのことです。

アンカリングされると、その条件に無意識に縛られてしまいますが、その条件を提示した商談先の方も、実はその言葉にアンカリングされているのです。
アンカリングには、明確な根拠はありません。その条件に縛られることなく、それを忘れ去るぐらいの提案を持参して、商談に向かいましょう!

一般社団法人食品経営支援協議会では、食品衛生に関連するご支援のみでなく、経営課題解決に向けたご支援もおこなっています。お気軽にご相談ください。
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執筆者

講師:沼

沼  博 之
一般社団法人 食品経営支援協議会 理事
JHTC認定 HACCPリードインストラクター・上級HACCPコーディネーター・中級食品表示診断士・ASIAGAP指導員

食品業界(量販店、卸問屋、食品メーカー)の川上から川下まで経験し、販売・営業に31年間携わる。食品メーカー在籍中にはISO22000の食品安全チームリーダーを務め、HACCP構築のための社内外の指導教育、セミナー講師として活動。特に受講者の目線に立ったわかりやすい指導には定評がある。上記資格以外にも食の6次産業化プロデューサー・プロレベル4、JGAP審査員研修終了認定者、日本オーガニック検査員協会講習終了認定者でもあり、現在も活動領域拡大中。

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