食品経営支援協議会の専門家によるコラム。今回は長年微生物の研究にたずさわる、健康管理や食品衛生のエキスパート山口が食物繊維について動画で解説します。

みなさん、こんにちは。食品経営支援協議会(FMSC)理事の山口 幸三です。
食品衛生や微生物について学んでいると、ウィルス、細菌、菌などの言葉が出てきますね。
「ウィルスと菌は別の生き物」ということをご存知の人は多いと思います。ところが、「菌と細菌」についてはどうでしょうか?ほとんどの人は「菌と細菌は同じ意味」と認識してしまっており、本来の使い分けができていないのではないでしょうか?
今回はこれらの用語について専門家の立場から簡単に説明していきます。 

■ウィルスについて(ノロウィルスなど)

ウィルスは細菌の1/101/100ぐらいの大きさです。かなり小さいので、普通の顕微鏡では見ることができません。
そして、ウイルスの最大の特徴は「自分だけでは生きていけない」ということですね。人や動物などの細胞に寄生して、その細胞の機能を拝借することで初めて生きていける(増殖できる)のです。
自分だけでは増殖できないことから、「ウィルスはそもそも生物ではない」と考える専門家が大半かと思います。
また、ウィルスは極めて単純な構造をしています。普通の生物の細胞内にあるようなタンパク質合成装置がないんですね(だから人の細胞に寄生する必要がある)。 

■細菌について(大腸菌、サルモネラ菌など)

細菌はだいたい1μm1mm1/1000)ぐらいのサイズなので、ウィルスと違って普通の顕微鏡で見ることができます。
また、ウィルスが人の細胞の機能を拝借して増殖するのに対して、細菌は自ら細胞分裂して増殖します。そのため、人の細胞に入り込む必要がありません。
自ら細胞分裂をするため、細菌自身にはさまざまな機能が備わっています。人の細胞を間借りしているウィルスとは比べ物にならないほど複雑な細胞から成り立っているのです。

■菌について(カビなど)

最後に菌についてです。
細菌と菌に関しては、ほとんどの人は「言葉は違うけど意味は同じ」と考えていると思います。なので、大腸菌やボツリヌス菌のことを「菌」と表現してしまっています。意味は通じるので大きな問題ではないのですが、専門家としては聞いていて違和感があります(大腸菌やボツリヌス菌は「細菌」と表現すべきなのです)
通常、「菌」というと菌糸が伸びていくカビやキノコなどを指します。細胞の構造は細菌よりももっと複雑で、どちらかというと植物に近い細胞を持っています。
食品衛生でよく出てくるアフラトキシンという毒素はアスペルギルスという菌が作っていますね。あとはパンに生えたカビなども菌ですね。これらのことを「細菌」とは表現しないわけなんです。

今回は、ウィルス、細菌、菌の違いについて述べてきました。この機会に、これらはそれぞれ別の生き物であることを理解しておいてください。

一般社団法人食品経営支援協議会では、HACCPの導入前の研修から、計画の策定とモニタリングを中心とした運用に関して、トータルなご支援をおこなっています。お気軽にご相談ください。https://fmsc.or.jp/contact/

執 筆 者

山 口 幸 三
一般社団法人 食品経営支援協議会 理事
上級HACCPコーディネーター  / エキスパートファスティングマイスター

大学・大学院・製薬会社勤務時代の15年間、一貫して微生物の研究に従事。腸内細菌や食中毒原因菌など幅広い微生物に関する専門知識を有する。製薬会社を退職後は、健康管理や食品衛生に関する法人を設立。専門的な内容をわかりやすく伝えるセミナーには定評がある。

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