食品経営支援協議会の専門家によるコラム。今回は病原微生物対策の原則について解説します。 

みなさん、こんにちは。食品経営支援協議会(FMSC)理事の秋島  一雄です。
いよいよ今月から改正食品衛生法が完全実施となります。食品衛生は何よりも食中毒を起こさないことですが、このブログではその食中毒への対策として、原因となる病原微生物へ対応の3つの原則についてお伝えしたいと思います。

原則1:病原微生物を「持ち込まない」

病原微生物の入口は右の図ように3つあります。この3つの入口をどう防ぐか?が持ち込まないになります。この3つの入口に対しての対策として、まずは「従業員」に関してですが、①本人の健康管理②適切な手洗いの実施③清潔な作業着やマスク・手袋の着用と頻繁な取り換え、があります。次に「原材料」ですが、仕入先からは受入時の包装の破れや使用期限・等の確認や適切な温度管理で保存方法の実施等があります。最後に工場(店舗)およびそこにある設備での対策として、作業場の洗浄(特に病原微生物のエサとなるものを無くす)や消毒(特にドアノブやトイレなど)が必要になります。またこの原則1「持ち込まない」には、交差汚染を防ぐ意味で「つけない」も含まれ、特に調理器具等の材料別や用途別での適切な使い分けも必要です。

原則2:病原微生物を「増やさない」

病原微生物が増やさないためには、①栄養分 ②水分 ③温度 ④時間 ⑤pH によるいずれかを押さえればよいことになります。栄養分を洗い流し、水分の乾燥や適切な温度管理と一般に危険といわれる10℃から60℃の温度帯にはできるだけ避けるもしくは短時間という管理を徹底させ、PHのコントロールもPH調整剤の活用などで、増殖を抑えることができます。なお、温度管理で10℃以下でも増殖のスピードが遅くなるだけで、完全に増やすことは止められないことも理解しておきましょう。

原則3:病原微生物を「やっつける」

この対策はまずは十分な加熱があります。食材の中心温度が75℃以上1分間以上の加熱で多くの病原微生物(カンピロバクター・サルモネラ菌・腸炎ビブリオ・O-157、など)は死滅しますが、ノロウイルスだけは85℃から90℃以上で90秒以上の加熱が必要になります。一方加熱をしない生野菜等は、希釈した次亜塩素酸ナトリウムで病原微生物を殺菌するやり方や器具類を塩素系漂白剤やアルコールを使って殺菌消毒もあります。

病原微生物に対して、「持ち込まない・つけない」・「増やさない」・「やっつける」といった3原則を順守して、食中毒を予防していきましょう。予防による対応は、問題が起こった時に生じる労力・コスト・風評被害への対応に比べれば、管理コストは100分の1で済むとの話もあるぐらいです。転ばぬ先の杖として、この3原則への理解と実践をぜひともおこなってください。

一般社団法人食品経営支援協議会では、このHACCPへの理解を深めるためのマイスター習得セミナーを含めた様々研修やセミナーをご提供しています。お気軽にご相談ください。https://fmsc.or.jp/contact/

執 筆 者

秋島 一雄
一般社団法人 食品経営支援協議会 代表理事
中小企業診断士  / 東京商工会議所中小企業相談センターコーディネーター  / HACCP コーディネーター / 産業能率大学兼任講師

総合商社の営業マンから経営コンサルタントとして独立。中小企業専門のコンサルタントとして、東京商工会議所を含め公的機関にて年間200件以上の経営支援実績がある。また販路開拓・マネジメント・海外展開・創業塾等の研修・セミナーの講師も務め、その現場感覚のある指導でリピーターも多い。

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