みなさん、こんにちは。食品経営支援協議会(FMSC)理事の秋島 一雄です。
このブログでは、HACCP12手順の簡単な考え方をご紹介していきます。今回は3回目、前半の5つの前手順の手順3をご紹介します。
手順3 使用の記述(意図する用途と対象者)
この手順3では、自社製品が、誰に、どのように食べられるのか(そのまま食べる・加熱して食べる等)を、明確にしておく必要があります。また使用する対象者(乳幼児・高齢者等の高リスク者)によっては、より衛生等に気をつけることが必要になってきます。
喫食又は使用方法
前手順である手順2では、製品の4つのポイント(1)使用する原材料と添加物 (2)製品の安全上の特性 (3)賞味期限・消費期限 (4)保管条件・配送条件や包装形態)から、製品説明書を作成しました。
手順3では、その説明書に加える形で、その後の情報の整理をおこなってきます。製品が使用される段階(消費者であれば喫食時、業務用であれば調理時の加熱処理等)を「喫食又は使用方法」として記入をします。
消費者がそのまま喫食する製品の場合、特に十分な安全性を担保するような衛生管理が必要です。また消費者が自宅で加熱してから食べる、といった製品であれば、それに対応した包装形態(容器が高温で溶けない等)が必要になることもあります。
使用上の注意(ラベル上の注意)
ここでの注意とは、製品のラベル表示に記載する使用上の衛生に関する注意喚起のことです。例えば、常温保存の豆乳のラベルには、このような記載があります。「開封後は冷蔵庫(10℃以下)で保存し、賞味期限にかかわらず、2~3日を目安にお飲みください」このような使用上の注意をここに記載します。
対象者
消費者と一言でいっても様々なタイプ(属性)があります。例えば、抵抗力の弱い高齢者(高リスク者)を対象とした製品であれば、より高い安全性が担保できる衛生管理が必要です。またアレルゲン表示は、ある食材に対してアレルギーを持っている方に対しての必須の注意喚起項目です。(「アレルゲン表示」はとても重要な項目なので、1項目として記載します)
製品説明書作成は、見える化と共有化が目的
よく製造に関わっている方から「頭に入っている」ということを聞きますが、管理で必要なことは、その方が不在でも対応ができるようになっていることです。新入社員や製造部門以外の方でも、それを見れば管理ができるといった状態にしておくことです。そのために、この製品説明書は重要な役割を担っています。また、HACCP7原則の原則1で作成する「危害要因分析」のべースになります。
一般社団法人食品経営支援協議会では、HACCPの導入前の研修から、計画の策定とモニタリングを中心とした運用に関して、トータルなご支援をおこなっています。お気軽にご相談ください。https://fmsc.or.jp/contact/
執 筆 者
秋島 一雄
一般社団法人 食品経営支援協議会 代表理事
中小企業診断士 / 東京商工会議所中小企業相談センターコーディネーター / HACCP コーディネーター / 産業能率大学兼任講師
総合商社の営業マンから経営コンサルタントとして独立。中小企業専門のコンサルタントとして、東京商工会議所を含め公的機関にて年間200件以上の経営支援実績がある。また販路開拓・マネジメント・海外展開・創業塾等の研修・セミナーの講師も務め、その現場感覚のある指導でリピーターも多い。