みなさん、こんにちは。食品経営支援協議会(FMSC)講師の沼博之です。
前回に引き続いて、今回も食品表示についての質問です。
「栄養成分表示には推定値の記載が必要ですか?」
栄養成分表示には、上の例のように「この表示値は、目安です。」とか「推定値」と記載されているのをよく見かけます。
結論から先に述べると、表示している栄養成分の値と実際に製品を分析した値が、消費期限内又は賞味期限内に、食品表示基準で定められた許容範囲を超える可能性がある場合には、推定値記載をします。
栄養成分表示と実際の値との「誤差の許容範囲」は、±20%です。
推定値記載をすると、上記の「誤差の許容範囲」は適用されません。
表示された値と実際の値が変わらない場合又は誤差の許容範囲内にある場合には、推定値記載は必要がありません。
ただしその場合は、許容範囲を超えると食品表示基準違反となってしまいますので、注意が必要です。
では、推定値記載さえすれば好きな方法で栄養成分表示の値を決められるかというと、そうではありません。あくまでも科学的・合理的に根拠のある方法で、その値を求めることとなっています。また製品を販売している間、その根拠資料を保存することも求められています。
栄養成分表示値の求め方(及び保存するもの)は、以下の2つになります。
(以下の項目は、大事な項目だけを抜粋して紹介しています。詳細は、消費者庁の「食品表示法に基づく栄養成分表示のためのガイドライン」をご参照下さい)
1.表示値を、サンプル品を分析して決める
<保存するもの>
・分析試験成績表
2.表示値を、計算で決める
<保存するもの>
表示しようとする食品と同一又は類似する食品から表示値を求める場合
・採用した計算方法(例えば、最新版の日本食品標準成分表)
・引用したデータベースの名称
原材料の値から計算して表示値を求める場合
・採用した計算方法(例えば、最新版の日本食品標準成分表)
・引用したデータベースの名称
・原材料の配合重量レシピ
・調理加工前後における重量変化に関するデータ
最後になりますが、推定値記載は消費者への的確な情報提供を行う観点から、表示値の設定根拠を下記のように追加しても良いとされています。
「日本食品標準成分表2020年版(八訂)の計算による推定値」
「サンプル品分析による推定値」
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執筆者
沼 博 之
一般社団法人 食品経営支援協議会 理事
JHTC認定 HACCPリードインストラクター・上級HACCPコーディネーター・中級食品表示診断士・ASIAGAP指導員
食品業界(量販店、卸問屋、食品メーカー)の川上から川下まで経験し、販売・営業に31年間携わる。食品メーカー在籍中にはISO22000の食品安全チームリーダーを務め、HACCP構築のための社内外の指導教育、セミナー講師として活動。特に受講者の目線に立ったわかりやすい指導には定評がある。上記資格以外にも食の6次産業化プロデューサー・プロレベル4、JGAP審査員研修終了認定者、日本オーガニック検査員協会講習終了認定者でもあり、現在も活動領域拡大中。
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